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母さん、僕のあの麦わら帽子…

「母さん、僕のあの麦わら帽子 どうしたんでしょうね」

数年前、竹野内豊が出ていたドラマ版「人間の証明」で幾度となく出てきたフレーズ。このドラマで初めて聞いた文章ですが、情景が目の前に広がった事を覚えています。

静かなのに、鋭くて^^
決して好きなわけではないのですが、気になる私。

このフレーズと同じくらい記憶にあるのが「霧島」。
なんて、綺麗な響きなんだろうと思いました。
漢字も綺麗だし。

霧島神社
母さん、僕のあの麦わら帽子…_b0176010_1341585.jpg


母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

by seijitsuchan | 2011-09-03 13:46 | シンロジカル・デザイン

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